Tetsu Construction

こんな、構造物なんだ!

Double Header#1

 それでは、今回からは、近鉄塩浜検修車庫のイベントからお届けします。

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 例年「電車と綱引き」の位置に、「はかるくん」が置かれています(写真)。しかも、フル編成で、いくら多人数でも引くのは難しい重さです。やはり、展示とみるべきでしょう。こちら側は電動車、モワ24で、こちら側が2位側になるようで、運転台下に「2」のプレートが貼られます。

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 次は、運転台側、則ち2位側の台車(写真)。モワ24は電動車ですので、動台車と思われます。一瞬「ウイングバネペデスタル式」と言いたいですが、近鉄近畿車輛は伝統的にシュリーレン式(スイスのシュリーレン社と提携し設計されたことからこの名がついた)台車を使用しており、これも当然そうです。近鉄がシュリーレン式を放棄したのは、22000系「ACE」からです。その前の21000系「アーバンライナー」までは、本当に頑なにシュリーレン式を用いていました。

 シュリーレン式台車は、別名「円筒案内式」とも呼ばれ、バネの内側に太さが微妙に違う円筒が上下にあり、その噛み合わせで位置を固定、バネで車軸の衝撃を吸収する方式です。超精密整備を要求されるスイスの鉄道技術の中でも、日本に定着した数少ない技術です。

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 1位側の台車(写真)。ボルスタアンカが先ほどと反対向きに入っていますが、それ以外は同じです。車軸の軸受けが、「NTN」としっかり陽刻されており、メーカーがすぐ分かります。

 高速鉄道が実現する、最初の関門が軸受け、ここが少しでも不出来だと潤滑油が燃焼し、白煙を上げ大変なことになります。最悪、車両の破損に繋がり、大事故の原因にもなり、やはり生命線と言うべきでしょう。これが出来るか、出来ないかで技術を計ることも出来、また砂粒一つでダメになる、非常に重要な部品です。恐らく全ての鉄道会社で、徹底洗浄する場所です。

 一時は、ボディマウント式のボルスタレス台車が完成形と考えられていましたが、今では再びボルスタ台車を復活させる会社もあり、やはり「究極の台車」は、まだ無いというべきでしょう。まだまだ、技術の追究が必要なようです。

 それでは、次回をお楽しみに。